ポーランドを代表する工業地域としても知られるポーランド南部のカトヴィチェ(Katowice)。かつては炭鉱の街として発展してきたことで、戦後の環境汚染が深刻な問題になったことも。その後、石炭の使用減少や公害の原因となる工場が閉鎖していくなかで徐々に改善。現在では観光都市・文化都市として進化しています。
高速列車ペンドリーノ(EIP)を利用すれば、ワルシャワからは約2時間半。カ トヴィチェの魅力のひとつが新旧の建築群です。EU資金の恩恵によりポーランド全土に文化施設が建てられているなか、カトヴィチェでも建築ラッシュが続きました。ここではバウハウス型モダニズム建築から現代建築まで、おすすめの建築スポット8つご紹介します。top photo by Monika Magdalena Zając
01 カトヴィチェ国際会議センター(Katowice International Conference Centre/ ICC)
ワルシャワを拠点とする建築家集団 JEMSによって2015年に建てられたカトヴィチェ国際会議センター(ICC)。傾斜面、屋根、階段、テラスは緑色で覆われています。自然とアバンギャルドを結びつけ、重工業で発展してきたカトヴィチェのイメージを柔らかく、未来を見下ろす新しい建築景観が生み出されました。 http://www.mckkatowice.pl/en/
所在地:plac Sławika i Antalla 1, 40-166 Katowice
02 シレジア美術館(Silesian Museum Katowice)
1929年に設立されたシレジア美術館。戦後1986年に修復され、2007年より新館を建設プロジェクトが開始、2015年に完成。1999年に閉鎖された炭鉱の跡地に建設され、かつてのポストインダストリアルの風景を損なわないよう、建物はガラスキューブの構成のみ、代わりに地下13メートルまでの展示スペースがつくられました。鉱山シャフトのタワーのシルエットはシレジアの風景の特徴的なシンボル。
https://muzeumslaskie.pl/pl/
所在地:Tadeusza Dobrowolskiego, Katowice, Poland
03 スポデク(Spodek)
UFOのような形状から、フライングソーサー(空飛ぶ円盤)を指す<Spodek>(ポーランド語でソーサーを意味する)とつけられた多目的アリーナ複合施設。建築は1964年から始まり1971年に完成。カトヴィチェの象徴的な存在でもある建物です。
http://www.spodekkatowice.pl/
所在地:Spodek, aleja Korfantego 35, 40-005 Katowice
04 ポーランド国立放送交響楽団(National Polish Radio Symphony Orchestra)
ポーランド南部シレジア地方出身の建築家Tomasz Koniorによって2014年に完成。シレジアの伝統的な建築に由来した赤いレンガで覆われたオブジェクト。またこの形状により、優れた音響を備えた建物の中心にあるグランドコンサートホールは、建物の内にある建物として機能し、外部からの音は届かなくなります。
http://www.nospr.org.pl/en/
所在地:plac Wojciecha Kilara 1, 40-202 Katowice
05 スーパーユニット (Superjednostka・Superunit)
世界で初めての巨大住宅建築といえば、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)の作品のひとつユニテ・ダビタシオン(Unité d’Habitation)。60年代のポーランドにおいても多くの影響をあたえました。このポーランド最大のアパートメントはこのアイデアを拝借し建設は1967年にはじまり、1972年に完成。長さ187.5メートル、地上15メートル、地下200軒のガレージ。 762のアパートでは最大3千人まで住むことができます。
ワイダスタジオにて制作されたショートフィルム<Superunit>
所在地:aleja Korfantego 24, 40-001 Katowice
06 CINiBA(Information Centre and Academic Library )
ここでも使用されているシレジア地方特有の工場用の赤レンガ。ワルシャワのHS99スタジオによって2011年に建てられました。幾何学的に配置された4000もの垂直な窓により、昼光と夕暮れ後では異なる印象を与えます。
http://www.ciniba.edu.pl
所在地:Bankowa 11, Katowice, Poland
07 住宅地 Osiedle Tysiąclecia
カトヴィチェの北西部にあるポーランド最大の集落。ポーランドの建築家であり都市計画者でもある著名なヘンリク・バススコ(Henryk Buszko)も開発チームの重要なひとりであり、最も有名な作品のひとつ。この大規模な開発は50年代後半から行われ、その中心地には80年代後半に建築されたトウモロコシ型のブロックビルが並ぶ。この開発地域にはカトヴィチェの人口の8%が住んでいるといわれています。
所在地:Osiedle Tysiąclecia
08ーカトヴィチェの歴史地区 Nikiszowiec
カトヴィチェ南に位置するかつての鉱業地帯。1910年に炭鉱の労働者とその人々の家族のため、伝統的な建築様式に基づいて建てられた、レンガ造りの住宅地。2000年初期には、軽犯罪が起こるような少し危険な地域でしたが、2011年に歴史的モニュメントとして認められました。そして、いまでは古い街なみに魅了されたアーティストが集まりだし、多くの文化イベントが行われ、当時の面影を残しながら歴史を体感できるとして、観光客があつまるようになっています。
所在地:40-423 Nikiszowiec, Katowice, Poland