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アネタ・グシェコフスカ / MAMA

ワルシャワのラスターギャラリーでアネタ・グシェコフスカ(Aneta Grzeszykowska)の「MAMA」展がはじまる。この新作は昨年秋にニューヨークのLyles&Kingで展示され、ポーランドでは初公開となる。

 昨年の「Beauty Mask」ではアネタ自身が美容マスクを装着し、グロテスクなイメージをつくりだしていた。同時に彼女は映画業界の特殊効果で働いていた2人の友人と共に、アネタ自身の等身大の上半身のシリコン製のレプリカを作成した。

MAMA / Aneta Grzeszykowska
MAMA / Aneta Grzeszykowska

 新作の「MAMA」は前のシリーズの延長であり、写真に登場する小さな女の子はアーティスト自身の娘である。アネタの娘のフランツスカ(8歳)は母親の裸のリアルな人形で遊ぶ。

MAMA / Aneta Grzeszykowska
MAMA / Aneta Grzeszykowska

牧歌的なポーランドの田園地帯を散策し、湖で泳ぎ、人形と戯れる子供。のどかな夏休みが、超現実的なイメージとしてバランスよくおさめられている。現実とカメラが捉えるものとの違いを強調し続けてきた彼女の写真の中にあるものは、人工と現実の間の奇妙な空間だ。

MAMA / Aneta Grzeszykowska
MAMA / Aneta Grzeszykowska

 「MAMA」はフェミニズム作品でもある。私たちが子供たちに与える玩具によって、幼児期からジェンダーの役割が社会的にどのようにインパクトをもたらしているかが読みとれる。

「女の子は人形、世話をする必要がある赤ちゃん、もしくは将来、一般的に理想的だと思われているバービーと遊びます」と、アネタは説明している。シリーズは、それらの役割を逆にすることによって母と娘の関係を複雑にみせている。娘は赤ちゃんの人形と同じように母親を育て、母親は子供が大人のファンタジーを投影する対象になる。

 MAMA / Aneta Grzeszykowska
MAMA / Aneta Grzeszykowska

様々なシチュエーションやパフォーマンスはすべて、フランツスカによって始められたものだそうだ。ここでは作品の作者は娘となり、アーティスト自身と入れ替わる。

 「母性の経験はすべての人間にとって大きな変化であると思います」とアネタはいう。娘の存在は彼女の世界観を広げてくれる存在なのだ。展示は2019年9月14日まで。

 ”MAMA”
Aneta Grzeszykowska
会期:2019年5月25日~9月14日
火曜ー土曜日12:00~18:00
所在地:Raster Gallery 
ul. Wspólna 63, 00-687 Warszawa
www.rastergallery.com

 

生きたコラージュ<FOREIGN BODIES・異物>アネタ・グシェコフスカ、荒木経惟、エヴァ・コヤトゥコヴァ

ワルシャワのラスターギャラリーで、<FOREIGN BODIES>展が開催中。身体をまるでプラスチック素材のように必要に応じて、形成、整形し、変形し、歪ませるー現代の視覚文化。この展覧会では、様々な処置をほどこした女性の身体のイメージが展開される。
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過去・現在・未来へとつなぐ、写真考古学と現代アート「リビング・アーカイブス(Żywe archiwa)」

ポーランドの写真家、アーティストのコレクションの保管管理などを8年間続けている、写真考古学財団(Archaeology of Photography Foundation)によって開始された、写真の<アーカイブ>に焦点をあてたプロジェクト「Long Life for Photography」。ポーランドとノルウェーの写真の修復・復元や保存、アーキビスト、キュレーターやアーティストが集まり、過去の写真を維持しながら提示する新たなメソッドを模索し研究しています。 続きを読む 過去・現在・未来へとつなぐ、写真考古学と現代アート「リビング・アーカイブス(Żywe archiwa)」

Aneta Grzeszykowska / 死と乙女

ポーランドの現代美術家、アネタ・グシェコフスカ(Aneta Grzeszykowska)の展覧会がザヘンタにて開催中。タイトルは「Death and the Maiden(死と乙女)」、フランツ・シューベルトが1824年に作曲した作品からきています。

テーマは身体とアイデンティティ、そして死とセクシュアリティの関係を探求していて、ここ数年の彼女のビデオ作品である”ブラック”シリーズから始まります。ギャラリー内に設置された3つの真っ黒な箱型ミニシアターではそれぞれBlack (2007), Headache (2008),  Bolymorphia (2010)を見ることができ、いずれもアーティストの白い裸体が暗闇の中でパントマイムのように演じる姿は、死を彷彿させる恐怖とともに奇妙な美しさを感じました。また今回の展覧会のために作成された写真シリーズ”Negative book”は、ネガフィルムを現像した陰画のままプリントされているもの。写真の中の彼女自身だけが陰画でなく処理されているからか、日常のシーンを写しているのに不思議な日記をみているよう。

Aneta Grzeykowska2012 / 2013 Negative Book #65
Aneta Grzeykowska2012 / 2013 Negative Book #65
1974年生まれのアネタはポーランドの現代美術において最も重要な機関ともいえるラスター世代のアーティスト。自己のアイデンティティと自己消去といった問題を探求するために、写真、ビデオ、デジタルを使用している。今後も目が離せないアーティストのひとり。

アネタ・グシェコフスカ(Aneta Grzeszykowska)死と乙女・Death and the Maiden 2013年4月12日から6月2日まで Zachęta – National Gallery of Art  Aneta Grzeszykowska