dawidplaneta

うつ病との戦いを神秘的に描く、アーティスト自身の物語

ポーランド・クラクフ出身の若手アーティストのダヴィッド・プラネタ(Dawid Planeta)。クラクフのアカデミーで工業デザインを学んだが、アートや写真に傾倒しながらも彼は心理学、神話、潜在意識の神秘的な世界を探求していく。

Right Road, 2017, ©Dawid Planeta

Right Road, 2017, ©Dawid Planeta

もっとも知られた<Mini People>と題されたシリーズはアーティスト自身が患ったうつ病を通じて経験した精神的な旅を可視化した作品である。暗いジャングルの中で巨大な生き物と対峙して迷子になった小さな人間の姿を描きながら、自分が何者で、何を恐れているのかということに気づくことができたという。

霧煙るジャングルをさまよう男は、暗闇の中、目を光らす不気味な動物に勇敢にも対峙している。動物たちは、男に内なる強さや輝きを発見させるべく、彼をジャングル奥地に導いているようにも見える。”彼の内なる強さを見つけ、光を見つけ、それを持って戻ってくるように”。プラネタは、「これは、長い間無視してきた自分の心の部分と向き合うために、暗闇と混沌の中に降りていく男の物語です」という。

Peaceful Soul, 2017, ©Dawid Planeta

Peaceful Soul, 2017, ©Dawid Planeta

現在、4月4日までの予定で開催中だった米国のシアトルのRoq La Rue Galleryにて <Dawid Planeta/The Unknown>展が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、最終日を迎える前に延期が発表された。展示作品はRoq La Rue Galleryのサイトにて公開されている。今、世界中で過去に例のない混沌と不安の入り混じるなか、プラネタが見つけた暗闇の中の光は、この状況を無視せずに向き合う人間にとっての希望の光にもとってみえるのではないだろうか。(word by Daisuke Shirai)

ダヴィッド・プラネタ(Dawid Planeta)
1990年。クラクフ出身。イラストレーション、アーティスト。父親は写真家、母親は美術教師という芸術一家に生まれる。クラクフのヤン・マテイコ美術アカデミー卒業。
Instagram / minipeopleinthejungle