ポーランド東部 ① ルブリン、今年で700年! 行くべき、見るべき10のこと

ポーランドの東、ウクライナ国境に近く東欧諸国のゲートともいえる都市ルブリン。ワルシャワから車、電車で約3時間弱、西側諸国に近いポーランド西部とくらべると、経済発展が遅れていた東側は、15年前にはたった3軒しかホテルがありませんでした。

旧市街地にある旧広場Plac Po Farze photo by Grazyna Saniuk
旧市街地にある旧広場Plac Po Farze photo by Grazyna Saniuk

戦前のまま残る旧市街地には長いあいだ、観光客はほとんどいなかったのが、いまではアメリカ、カナダ、欧州からの観光客、ストックホルムからルブリン空港までの直行便が運行されたこともあって北欧からも多くの人が訪れるようになり、ホテル数は70軒にまで増えました。

旧市街地へと入るところ。photo by Grazyna Saniuk
旧市街地へと入るところ。photo by Grazyna Saniuk

 ルブリンは、典型的な素朴な古きポーランドの面影が残る街ともいわれ、ポーランドのエッセンスがつまったところ。ここでは、ルブリンで行きたい、見ておきたいところ10選ご紹介します。

1. MUZEUM WSI LUBELSKIEJ (The Open Air Village Museum in Lublin)

まず訪れてほしいのは、広大な敷地に広がるオープンエアミュージアム。19世紀の典型的なポーランドの「村」や「町」を再現しています。

見所は2013年に再建した新たな「町」のエリア。バロック様式のタウンホール、学校や消防署に郵便局。住宅の様子から美容院やハーブ屋さん、そしてレストランやバーをが立ち並び、当時の人々の生活の様子を伝えてくれます。この時代は、夏の日曜日の午後はきまって、アイスクリームとダンスが定番の楽しみ方だったようです。

敷地内には川や橋もあり、のどかな風景とともに楽しめる野外博物館。ルブリンの中心地からの行き方はバス停「Plac Litewski 02」から18番のバスに乗り、9つ目の「Skansen 01」で降りて徒歩3分。ぜひ晴れた日には足を伸ばしてみてください。

info :
MUZEUM WSI LUBELSKIEJ 
4月から10月を除くオフシーズンは月曜日が休館日となっています。

 2.  Zamek Lubelski (The Lublin Museum)


今年で700年を迎え、古い歴史をもつルブリンには、ルネッサンスの伝統、ユダヤ人社会や宗教が絡み合ってきました。1569年にポーランドとリトアニアの歴史的統合の調印<ルブリン合同>が行われた都市としても有名です。

博物館となっているルブリン城には、歴史的絵画としてとても貴重なヤン・マテイコによる大作『ルブリン合同』を見ることができます。第二次世界大戦時にはドイツ軍に略奪されたこの大きな作品は、ルブリンへと戻ってくることができました。

また、中世から残る聖三位一体礼拝堂(HOLLY TYRINITY CHAPEL)の壁一面に描かれている見事なフレスコ画も必見。実に600年以上前という貴重なもので、入場するには限られた時間帯と人数制限があります。
info:
The Lublin Museum 
休館日は月曜日

3. DOM SŁÓW( The House of Words)

 歴史に翻弄されてきたポーランドではどのような状況下でも、言葉の力を信じていました。印刷された「言葉」は、社会や政治の変化の過程において「言論の自由」の重要性を訴える手段としてなくてはならないものでした。

芸術と教育に焦点をあてた、政府の教育機関<NN Theatre >によるギャラリー機関「DOM SŁÓW(The House of Words)」では、1930年代の伝統的な活版印刷の印刷機、時代ごとのグラフィックデザイン、タイポグラフィの変換とともに、当時の製本技術や製紙方法もみることができます。

エキシビションスペースでは「The Power of Free Speech」と題され、社会主義だった頃の雑誌や書籍や貴重な複写機が展示され、これは第二次世界大戦の終わり、チラシの不正印刷のためにドイツ人により殺されたプリンター14人に捧げられています。

info :
DOM SŁÓW / The House of Words  
ul. Żmigród 1 / Królewska 17
20-110 Lublin
入場料 7zł
営業時間は、平日10 :00 – 17:00 ,土曜日12:00 – 16:00
博物館となっている地下の展示を見てまわる場合は入場時間が決まっているのでご注意ください。平日は、10:00 / 12:00 / 14:00。土曜日は12:00 / 13:30 / 15:00。

4. MAJDANEK STATE MUSEUM

16世紀後半にはユダヤ人コミュニティーが形成され、人口の40%がユダヤ人だったルブリンには確固たるユダヤ人社会が築かれてれいました。その後は、ナチス・ドイツのホロコーストにより大半はベウジェツ強制収容所で殺害されました。

ルブリン郊外には、マイダネク強制収容所があり、マイダネク国立博物館(MAJDANEK STATE MUSEUM)として公開されています。ここではユダヤ人、ポーランド人、ロシア人、ウクライナ人だけでなく、フランス、イタリアなどの欧州各国籍の人々が収容されていたと言われています。

訪れると重く辛い過去に目を背けたくもなるかもしれません。このあまりにも広い敷地内に点在する、展示スペースとなった住居バラックやガス室。そこへ行くまでの道のりは、のどかな草原の風景が広がります。マイダネク国立博物館はとても美しい風景であるがゆえに、展示とのギャップがよりリアルに恐ろしく、辛く、それでも心に残るものとなるでしょう。犠牲者を忘れないためにも、興味がある方はぜひ足を運んでみてください。
info :
 MAJDANEK STATE MUSEUM

5. Carnival and Fair


毎年夏に開かれる「The Magicians Carnival」は旧市街地を中心にルブリンの街全体がサーカス、魔術師、パフォーマンスの舞台になる名物カーニバル。メインイベントは旧市街地での綱渡りのショー。開催時には多くの観光客が訪れるので、この時期に行く場合は早めにホテルの予約を。

CARNIVAL SZTUKMISTRZÓW(The Magicians Carnival)
開催日程:2017年7月27日~30日

もうひとつ、夏におすすめなのがポーランド、ウクライナ、スロバキア、ハンガリー、リトアニア、ベラルーシといった、中欧・東欧ヨーロッパの伝統クラフト文化フェア。メインは様々な地域での刺繍、織物などの伝統工芸の職人・アーティストが参加、フォークロア音楽のコンサート、そのほか手工芸のワークショップやプレゼンテーションが展開されます。
JARMARK JAGIELLOŃSKI(Jagiellonian Fair )
開催日程・2017年8月12日~14日

アート・芸術・文化に関するイベント、プログラムは、こちらのルブリン文化センター(Centrum Kultury w Lublinie )のサイトでもチェックできます。http://ck.lublin.pl

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