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どう生きて、どう過ごす。これからのデザイン。ŁDF2017

今年で11回目を迎えるデザインの祭典、ウッチ・デザイン・フェスティバル(ŁÓDŹ DESIGN FESTIVAL)が10月3日から8日までの6日間に渡り開催された。毎年秋になると楽しみにしているイベントのひとつでもあり、 ポーランド国内、そして中欧やヨーロッパの主要な産業デザイン、アート&クラフトデザインの可能性や驚き、発見と様々な側面を体感できるからだ。

top 今年のテーマである<A. NEW>。フェスティバルのディレクターであるミハウ・ピエルニコヴスキ氏は、「最年少の世代は、私たち両親が育った世界とはまったく異なる世界に住んでいる。技術、社会、環境の異常なまでの変化は、新しい解決策を模索する動機にもなります。これから私たちはどのように生きて働くのか、自由な時間をどう過ごしていくのか。そして、どんな世界で生まれ、成長するのか」とキュレーター、デザイナー、ブランドに問いかけた。

NEW OLD - designing for our future selves

「NEW OLD – designing for our future selves」展より

 これからの生き方や社会とのかかわりや都市開発の未来を描く展示が、ロンドンのデザイン・ミュージアムでの「NEW OLD – designing for our future selves」ポーランド凱旋展だ。日本だけでなくヨーロッパでも高齢化社会の到来を認識するなかで、高齢者社会に向けてのデザインのありかたを再考する見応えある企画。

そしてヴィトラ・デザイン・ミュージアムで昨年秋に開催された「Urban day dreaming」展が特別に展示され自然、植物、動物、水、火を日々の環境に再導入する必要性や、自然と都市の関係を反映して、都市空間の発展の新しい方向性をみせてくれた。

ひときわ心に響いたのは「People from the porcelain factory/ポーセリン工場の人々」と題された展覧会。このプロジェクトはポーランドで最も古く18世紀から続いている磁器工場(Polskie Fabryki Porcelany Ćmielów i Chodzież S.A.)で行われ、人類学者とセラミックアーティストのチームによるもの。

塩化コバルトに浸された手袋を着用した労働者によって工場生産ラインで生産された。彼らが接触した痕跡を目にすることで工業生産におけるなかの「人間の要素」の役割が明らかになり、「人間の仕事」の結果であるということ、そしてこの触れ合いが製造プロセス全体の一部であることを視覚的に示している。白く、滑らかに輝くポーセリン陶器は完璧な清潔さを呼び起こさせるもの。指やリップの痕跡があれば、私たちはすぐさま拭き取りたくなるし、通常ならば使っている食器が何回誰かの手にふれたとか数えたくはないはず。ポーセリンの工場生産は社会的にも関心度が低いなか、ポーセリン工場の人々をリスペクトした企画はとても印象に残った。

ポーランドのデザイナー、メーカー、ブランドから毎年選ばれる<must have.>からいくつかピックアップ。

若手アーティストのためのコンテスト”<make me!>での受賞作品の一部。

今年は開催期間も従来までの10日間から6日間となり、メイン会場もティミエニツキエゴ通り3(Tymienieckiego 3)に位置する「Art_Inkubator」だけで主要な展示は見て回ることができるので、イベント全体として規模の縮小を感じた。今年の<A. NEW>といったスローガンのもと、新しい経済、新しいメディア、新しい時代の価値観を提示し、フェスティバル自体も形を変えながら新たな時代へ移行しているのかもしれない。

info:
www.lodzdesign.com