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アガタ・クス Agata Kus

Agata Kus   アガタ・クス:1987年、クロスノ生まれ。クラクフ在住。クラクフの美術アカデミーの絵画学科にて博士課程を卒業後、2010年から2014年までポーランドの現代美術家Paulina Ołowskaのプライベートスタジオにてアシスタントを務める。ペインティング、ドローイング、ビデオの分野で活動。2015年、ブロツワフの国際メディアアートビエンナーレにて最優秀賞を含めた数多くの賞を受賞。彼女の作品の一部はクラクフ現代美術館MOCAKや、個人のコレクションとして所蔵され、昨年はポーランド国内のみならず、フランス、オーストリアのギャラリーやアートフェアにて展示された。

PH.D. STUDENTS (DOKTORANTKI) / oil on canvas / 200 x 140 cm / 2015 / Private collection, Germany

PH.D. STUDENTS (DOKTORANTKI) / oil on canvas / 200 x 140 cm / 2015 / Private collection, Germany

 アガタ・クスの作品には絵と絵を重ね合わせた擬似コラージュ、カット&ペーストといった技法が特長的。個別のテーマをコラージュのように重ね合わせ、相互作用によって新しい解釈をもたらす。たとえば、「PhD Students (Doktorantki)」。博士課程の女学生たちが座ってコーラを飲みながら話しをしている、中央の薄く透けた紙のその向こう側には、顔のない半裸の女性が<毛皮ーモンスター>に包まれている。そこから見えてくるのは彼女たちの「汚れた思考」あるいは、隠された欲望の発散。また、彼女たちには色があまりなく、大ざっぱなドローイング、透明性を持ちながらも、中心にいる絵はしっかりと描かれ、それは唯一無二の存在のように主張する。

LEAVE, STAY (ODEJDŹ, ZOSTAŃ) / oil on canvas / 50 x 70 cm / 2015

LEAVE, STAY (ODEJDŹ, ZOSTAŃ) / oil on canvas / 50 x 70 cm / 2015

 毛皮、犬の毛、レース、ベールやビジューといったモチーフは重要な記号として作品に登場する。 これらは丹念に、繊細に描かれる。その一方で「Leave – Stay (Odejdź – zostań)」の一部は鉛筆のドローイングの痕跡が残され未完成のまま残される。

「TWINS IV 」、「Execution(Egzekucja)」、「Aleksander」では、顔に煙草の吸殻を押し付けたかのように、燃やした穴がみてとれる。また「TWINS」シリーズのように、シャム双生児のように隣合わせになった肖像画は、写真家・ダイアン・アーバスの有名な双子の写真、それに続くスタンリー・キューブリックの『シャイニング』の双子のシーンを思い起こさせ、視覚的に不安にさせる。

THE LOVE GAME / oil on canvas / 160 x 130 cm / 2014 / Private collection, Germany

THE LOVE GAME / oil on canvas / 160 x 130 cm / 2014 / Private collection, Germany

 「The Love Game」の背景にあるのは、白いウェディングベール。頭上にあるドローイングには、ハートを踏みつけるヒール、目からこぼれ落ちる涙、巨大な口、といったおかしなパズルを突きつけられる。最後の若い女性の頭上には血まみれのボール。ベールをよく見ると、トム・ウェイツの”Falling Down”の歌詞のフレーズがメッセージとして刺繍で描かれる。

 憧れと欲望、不安と希望ーー純粋さと醜さの組み合わせ、女の子らしい夢と成熟してしまった女性、アガタ・クスは曖昧な人間の本質を挑発的に私たちを刺激する。more info

:アガタ・クスの個展がフランス・パリにて開催中MADEMOISELLE  – Solo show de Agata Kus
2016年4月15日から6月4日まで
Maelle Galerie  Paris