「PLACES」カテゴリーアーカイブ

<Friend of a Friend> ギャラリーを友好的に活用する新しいかたち。 8 Warsaw contemporary art galleries

ようやく春の陽気が感じられる季節になったポーランド。美術館やギャラリーで新たな展示がはじまるなか、4月7日からワルシャワで新たな試み、ギャラリー共有プロジェクト<Friend of a Friend(FOAF)>が始まった。ワルシャワ市内の8つの主要な現代アートギャラリーが展示スペースを無料で3週間解放、チェコ共和国、フランス、ドイツ、米国、スイス、イギリスから集まったギャラリーをホストする。

Florian Auer, Untitled (detail), 2018, digital print on transparent, pvc, led lights, 1.4 x 1.3 m. Kraupa-Tuskany Zeidler Gallery(Piktogram)
Florian Auer, Untitled (detail), 2018, digital print on transparent, pvc, led lights, 1.4 x 1.3 m. Kraupa-Tuskany Zeidler Gallery(Piktogram)

 アート作品はわたしたちに新たな視点や気づきを与えてくれるが、ギャラリー運営を続けるうえでは経済的な問題もある。ワルシャワでもここ数年ギャラリーが生まれては消えていくということも少なくない。また、少しでも世に広めたくとも、小・中ギャラリー、若手アーティストにとって、国際的なアートフェアへの出展だったりというのは予算の問題が大きなネックとなる。

<Friend of a Friend(FOAF)>は、2016年からロンドンで始まったギャラリー共同展示会「Condo」からインスパアされたもの。ホストとなるギャラリーは、展覧会を共同で企画したり、ギャラリースペースを割り当てることで、海外のギャラリーとスペースを共有する。 既存のギャラリー施設、そしてスタッフのリソース等を効率よく利用することでコストの削減も可能となる。

Jean-Marie Appiou, Zebu and Nutmeg, 2018, Aluminum, blown glass dimensions variable, Jan Kaps Gallery (Foksal Gallery Foundation)

<Friend of a Friend(FOAF)>では、招待されたギャラリーは無料での参加となる。これは、ポーランドの国立文化機関「アダム・ミツキエヴィッチ・インスティチュート(IAM)」の協力によって実現されている。さらに、共同作業によって得られる実験的な展覧会により自国のアーティストと、国際的なアーティストとの対話による新たな可能性を生み出す環境を提案している。こういった試みはアーティストがワルシャワの近代美術館等のコレクションに参加する絶好の機会でもある。開催は4月28日まで。

 Friend of a Friend
2018年4月7日から28日まで。

8つの参加ギャラリーはこちら
map of foaf

BWA Warszawa 
招待ギャラリー Antoine Levi (パリ/フランス) 、Hunt Kastner (プラハ/チェコ共和国)

Foksal Gallery Foundation 
招待ギャラリー ChertLüdde (ベルリン/ドイツ) and Jan Kaps (ケルン/ドイツ)

LETO Gallery 
招待ギャラリー Dürst Britt & Mayhew (デン・ハーグ/ドイツ)

Piktogram
招待ギャラリー Future (ベルリン・メキシコ), Lomex (ニューヨーク), and SVIT (プラハ)

Dawid Radziszewski 
招待ギャラリー Lucas Hirsch (デュッセルドルフ/ドイツ)

Raster 
招待ギャラリー Bernhard (チューリッヒ/スイス) and Ermes-Ermes (ウィーン/オーストリア)

Stereo   
招待ギャラリー Crèvecoeur (パリ) and Reserves Ames (ロサンゼルス)

Wschód 
招待ギャラリー Neue Alte Brücke (フランクフルト) and Union Pacific (ロンドン)

 


20世紀初頭から現代までのポーランドデザインが集結!Gallery of Polish Design

12月15日、ワルシャワ国立美術館内に常設展示ギャラリー<Gallery of Polish Design>が新設。20世紀初頭から現在までの家具、織物、陶磁器、ガラス、家電製品などの応用芸術において最も重要で象徴的な作品とともに、人気のあるテレビやラジオのセットといった工業デザイン、子供のためのデザイン、民俗学的デザインのカテゴリーもあわせると約600点ものオブジェクトをみることができる。

Gallery of Polish Design/Photo/Muzeum Narodowe w Warszawie
Gallery of Polish Design/Photo/Muzeum Narodowe w Warszawie

常設ギャラリーでは、歴史的イベントによって区切られながら時系列で提示。19世紀初頭のクラクフのアーティスト、職人、建築家のグループークラクフ・ワークショップ(Krakow Workshops)、伝統的な技術を使ったザコパネスタイルの活動。そして第一次世界大戦によって中断後、1926年にはワルシャワの美術アカデミーの教授によって設立されたポーランドにおけるアーツ&クラフト運動としてのŁad 協同組合(Ład Artists’ Cooperative)。このŁadのスタイルは、現代性と伝統、機能的かつシンプルに、そして装飾にはフォーク要素をユニークに取り入れることで1950年代にかけて大衆に広く使われることになる。

 戦後復興期を経て1956年以降のモダニズムデザイン、そして1968年までの有機的なスタイルが特徴的なこの時代はポーランドデザインがダイナミックに飛躍する。

ポーランドの芸術界全体に広がるデザインへのさまざまなアプローチとともに現代のデザインまでの軌跡をたどることができる<Gallery of Polish Design>。今なお愛されている最高のポーランドデザインに触れることのできるギャラリー、ワルシャワに訪れた時にはぜひ訪れてみてほしい。

ワルシャワ国立美術館
Muzeum Narodowe w Warszawie(MNW)
http://www.mnw.art.pl/
所在地:Aleje Jerozolimskie 3 00-001 Warszawa
営業時間:10:00~18:00(金曜のみ10:00~21:00)
定休日:月曜日
入場料:大人15 zł


ポーランド南部・カトヴィチェ、建築デザインスポット8選

 ポーランドを代表する工業地域としても知られるポーランド南部のカトヴィチェ(Katowice)。かつては炭鉱の街として発展してきたことで、戦後の環境汚染が深刻な問題になったことも。その後、石炭の使用減少や公害の原因となる工場が閉鎖していくなかで徐々に改善。現在では観光都市・文化都市として進化しています。

高速列車ペンドリーノ(EIP)を利用すれば、ワルシャワからは約2時間半。カ トヴィチェの魅力のひとつが新旧の建築群です。EU資金の恩恵によりポーランド全土に文化施設が建てられているなか、カトヴィチェでも建築ラッシュが続きました。ここではバウハウス型モダニズム建築から現代建築まで、おすすめの建築スポット8つご紹介します。top photo by Monika Magdalena Zając

01 カトヴィチェ国際会議センター(Katowice International Conference Centre/ ICC)

photos via http://jems.pl/

ワルシャワを拠点とする建築家集団 JEMSによって2015年に建てられたカトヴィチェ国際会議センター(ICC)。傾斜面、屋根、階段、テラスは緑色で覆われています。自然とアバンギャルドを結びつけ、重工業で発展してきたカトヴィチェのイメージを柔らかく、未来を見下ろす新しい建築景観が生み出されました。 http://www.mckkatowice.pl/en/
所在地:plac Sławika i Antalla 1, 40-166 Katowice

02 シレジア美術館(Silesian Museum Katowice)

photo by Silesian Museum Katowice

1929年に設立されたシレジア美術館。戦後1986年に修復され、2007年より新館を建設プロジェクトが開始、2015年に完成。1999年に閉鎖された炭鉱の跡地に建設され、かつてのポストインダストリアルの風景を損なわないよう、建物はガラスキューブの構成のみ、代わりに地下13メートルまでの展示スペースがつくられました。鉱山シャフトのタワーのシルエットはシレジアの風景の特徴的なシンボル。
https://muzeumslaskie.pl/pl/
所在地:Tadeusza Dobrowolskiego, Katowice, Poland

03 スポデク(Spodek)

photo by Spodek

UFOのような形状から、フライングソーサー(空飛ぶ円盤)を指す<Spodek>(ポーランド語でソーサーを意味する)とつけられた多目的アリーナ複合施設。建築は1964年から始まり1971年に完成。カトヴィチェの象徴的な存在でもある建物です。
http://www.spodekkatowice.pl/
所在地:Spodek, aleja Korfantego 35, 40-005 Katowice

 04 ポーランド国立放送交響楽団(National Polish Radio Symphony Orchestra)

ポーランド国立放送交響楽団 photo by National Polish Radio Symphony Orchestra

ポーランド南部シレジア地方出身の建築家Tomasz Koniorによって2014年に完成。シレジアの伝統的な建築に由来した赤いレンガで覆われたオブジェクト。またこの形状により、優れた音響を備えた建物の中心にあるグランドコンサートホールは、建物の内にある建物として機能し、外部からの音は届かなくなります。
http://www.nospr.org.pl/en/
所在地:plac Wojciecha Kilara 1, 40-202 Katowice

05 スーパーユニット (Superjednostka・Superunit)

インディペンデント出版社Zupagrafikaから発売されている戦後モダニズム建築ペーパーカットコレクションより

世界で初めての巨大住宅建築といえば、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)の作品のひとつユニテ・ダビタシオン(Unité d’Habitation)。60年代のポーランドにおいても多くの影響をあたえました。このポーランド最大のアパートメントはこのアイデアを拝借し建設は1967年にはじまり、1972年に完成。長さ187.5メートル、地上15メートル、地下200軒のガレージ。 762のアパートでは最大3千人まで住むことができます。

 ワイダスタジオにて制作されたショートフィルム<Superunit>


所在地:aleja Korfantego 24, 40-001 Katowice

06 CINiBA(Information Centre and Academic Library )

photo by Jakub Certowicz / CINiBA

ここでも使用されているシレジア地方特有の工場用の赤レンガ。ワルシャワのHS99スタジオによって2011年に建てられました。幾何学的に配置された4000もの垂直な窓により、昼光と夕暮れ後では異なる印象を与えます。
http://www.ciniba.edu.pl
所在地:Bankowa 11, Katowice, Poland

07 住宅地 Osiedle Tysiąclecia

中心地にそびえ立つトウモロコシ型のビル photo by Monika Magdalena Zając

 カトヴィチェの北西部にあるポーランド最大の集落。ポーランドの建築家であり都市計画者でもある著名なヘンリク・バススコ(Henryk Buszko)も開発チームの重要なひとりであり、最も有名な作品のひとつ。この大規模な開発は50年代後半から行われ、その中心地には80年代後半に建築されたトウモロコシ型のブロックビルが並ぶ。この開発地域にはカトヴィチェの人口の8%が住んでいるといわれています。
所在地:Osiedle Tysiąclecia

 08ーカトヴィチェの歴史地区 Nikiszowiec

photo by Monika Magdalena Zając
photo by Monika Magdalena Zając

カトヴィチェ南に位置するかつての鉱業地帯。1910年に炭鉱の労働者とその人々の家族のため、伝統的な建築様式に基づいて建てられた、レンガ造りの住宅地。2000年初期には、軽犯罪が起こるような少し危険な地域でしたが、2011年に歴史的モニュメントとして認められました。そして、いまでは古い街なみに魅了されたアーティストが集まりだし、多くの文化イベントが行われ、当時の面影を残しながら歴史を体感できるとして、観光客があつまるようになっています。

所在地:40-423 Nikiszowiec, Katowice, Poland


夏をもっと楽しく!ワルシャワ発のスイムウェア・BODYMAPS

Bodymaps SS17 photo by Kuba Dąbrowski
ダイナ・ディープなV字型が大胆なネックライン、バックは幅広のストラップが交差されたワンピースタイプ。Bodymaps SS17 / photo by Kuba Dąbrowski

こんな水着が欲しかったーー2015年6月に初めてコレクションを発表した頃から気になっていたワルシャワ発・スイムウェアブランド「BODYMAPS」。昨年のコレクションでは、より明確に50s~70sの時代を感じさせるレトロなシルエットで魅了し、今年2月にはワルシャワのモコトフ区にコンセプトストアをオープン、そして5月に2017最新コレクションが発表された。 続きを読む 夏をもっと楽しく!ワルシャワ発のスイムウェア・BODYMAPS


ワルシャワのシンボル<人魚(Syrena)>に出会う春

ワルシャワ市の紋章にもみることができる<人魚(Syrena)>は、街のシンボル。ヴィスワ川の人魚伝説しかり、昔から市民を守ってくれていると言われ、ワルシャワでは特別な存在。 続きを読む ワルシャワのシンボル<人魚(Syrena)>に出会う春


ポーランド東部 ② ルブリン、今年で700年! 行くべき、見るべき10のこと

>>>前回の記事

ルブリンはポーランド東部で最大の学生の街。優れた医大や大学があり学生の数は約100,00人以上、そのうちの6割は米国と近隣諸国からの留学生で構成されています。

異文化が混じり合う学生社会において、クリエイティブに国境はなく、ここ数年の間に急速に活気づいているのは、この学生たちの力もあるのでしょう。街を散策すれば、従来のスローライフはそのままに、地元の人々が街を愛し、一人一人のポジティブなエネルギーが感じられます。そんな街中でみつけたルブルンの新たな側面を感じるおすすめスポットを②でお伝えします。 続きを読む ポーランド東部 ② ルブリン、今年で700年! 行くべき、見るべき10のこと


ポーランド東部 ① ルブリン、今年で700年! 行くべき、見るべき10のこと

ポーランドの東、ウクライナ国境に近く東欧諸国のゲートともいえる都市ルブリン。ワルシャワから車、電車で約3時間弱、西側諸国に近いポーランド西部とくらべると、経済発展が遅れていた東側は、15年前にはたった3軒しかホテルがありませんでした。 続きを読む ポーランド東部 ① ルブリン、今年で700年! 行くべき、見るべき10のこと


ポーランドランジェリーのセレクトショップ 「kobieta(コビエタ)」が銀座にオープン!

2016年3月31日にオープンしたばかりの銀座最大級の商業施設「東急プラザ銀座」。なかでも話題のファッションのセレクトストア「HINKA RINKA(ヒンカリンカ)」の3階に、ポーランドのブランドランジェリーを専門に取り扱う日本初となるショップ「kobieta(コビエタ)1号店がオープンしました。 続きを読む ポーランドランジェリーのセレクトショップ 「kobieta(コビエタ)」が銀座にオープン!


8 places to see art in Warsaw・2016春

イースターも終わり、ポーランドもやっと春の陽気になってきました。夏時間に切り替わり、この1週間ほどで午後7時くらいまで明るくなり、街歩きが楽しくなるこの季節におすすめの展示会をセレクトしました。旅をしたら、その土地のギャラリーや美術館にぜひ訪れてみて。アートにふれるだけでなく、その場所に行くまでの道のり、風景、そして建物や展示されている空間も楽しめます。初めて出会ったアーティストとの出会いがあなたの生活の特別なエッセンスになりますように。

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華麗なるポーランドの馬たち ポーランド東部・ヤヌフ・ポドラスキ村

18世紀の初めからアラビア馬の飼育が始まったと言われるポーランド。昔から乗馬の伝統があるポーランドでは、本格的に乗馬ができるところが各地にあり、馬の飼育も盛んです。 続きを読む 華麗なるポーランドの馬たち ポーランド東部・ヤヌフ・ポドラスキ村