7年目を迎えるポーランド映画祭。今年は11月10日(土)から2週間に渡り東京都写真美術館ホールで開催される。ポーランド独立回復100 周年を記念したプログラムや、国内外で活躍するポーランドの女性監督の特集、日本初公開を含む最新のポーランド映画や、ロマン・ポランスキー監督の85歳を記念した上映するなど今年も豊富なラインナップになっている。
ポーランド映画の最前線
ポーランド本国でも話題となった最新作を紹介する《ポーリッシュ・シネマ・ナウ!》では”キュリー夫人”の波乱万丈の人生を映画化したやポーランドのアカデミー賞ともいわれる、ポーランド映画賞で作品賞、主演男優賞などを受賞した話題作『クリスマスの夜に』(ピオトル・ドマレフスキ監督/2017)などが日本初公開。来年2019年に日本公開が決定している『メモリーズ・オブ・サマー』(アダム・グジンスキ監督/2016)は、12歳の少年が大人への階段をのぼる思春期の過程での一瞬の季節を瑞々しいタッチで描いた傑作。
今年ポーランド国内で公開されたばかりの『ラブ・エクスプレス ヴァレリアン・ボロフチクについて』(クバ・ミクルダ監督/2018年)も日本初公開される。20世紀の最も破綻したポーランド人アーティストの一人ともいわれる、ポーランド映画監督ヴァレリアン・ボロフチク監督(1923年ー2006年)のドキュメンタリー映画。ワルシャワでポスターデザインや実験的な短編映画を手がけた後、パリへ移住、アニメーションの世界で国際的な成功を得た後はポルノグラフィーの美学を追求し、エロティック映画を制作し続けた。
名作映画から見るポーランド史
第一次世界大戦後の1918年11月11日、ポーランドは近隣諸国による支配から独立を回復して今年で100周年。歴史に翻弄されながらも、不屈の国ともいわれるポーランドの歴史を名作映画7作品でより深めてみたい。注目は日本初公開となる『夜と昼』(イエジー・アントチャック監督/1975)。歴史に翻弄された家族を通しながら第一次世界大戦の始まりから終わりまでの50年間を壮大なスケールで描いている。
日本初公開となる『ヴォウィン 』(ヴォイチェフ・スマジョフスキ監督/2016)。ウクライナ人、ポーランド人、ロシア人、ユダヤ人が共生していた地域ヴィウィン(現在はウクライナに位置する)で起こった民族相互の大虐殺は第二次世界大戦の最大の悲劇とも言われた。現在世界でも民族主義へと傾むいていくなかで改めて疑問を投げかける問題作となっている。またポーランド映画を代表する傑作『灰とダイヤモンド』(アンジェイ・ワイダ監督/1958年)や世界中で絶賛を浴びた『戦場のピアニスト』(ロマン・ポランスキー監督/2002)といった名作もデジタル・リマスター版で上映される。
ポーランドの女性監督たち
昨年、今年とベルリン国際映画祭でポーランド人女性監督たちが銀熊賞を連続受賞するなど国内外で評価をよぶ女性監督作品を特集。日本初公開となるのは、短編を含む4作品。『顔』(マウゴジャタ・シュモフスカ監督/2017)は第68回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞した、アイデンティティの喪失を激しい音楽とともに描いた意欲作。
『ポコットー動物たちの復讐』は昨年銀熊賞を受賞したアグニェシュカ・ホランドと娘のカシャ・アダミックの共同監督作。小さな村での連続殺人事件、野生動物、狩人…ポーランドの女流作家オルガ・トカルチュクの小説が原作となる本作は国内外からの評価が高いにもかかわらずポーランド国内の右派団体から反キリスト要素があると抗議をうけた問題作。
11月14日(水)19:00と、11月17日(土)17:15にはポーランドの若手女性監督の3つの短篇作品が3作品同時上映される。
また11月はポーランド文化を身近に感じられるフェアが都内各所で開催中。音楽イベント<ポーランド音楽を知る会>やポーランド・ブックフェア等ぜひこの時期をお見逃しなく。ポーランド映画祭2018の予告映像はこちらから
:ポーランド映画祭2018
監修/イエジー・スコリモフスキ監督
会期:2018年11月10日(土)から11月23日(金・祝)
会場:東京都写真美術館ホール
(11月12日(月)、11月19日(月)は休館のため上映なし)
当日料金:一般 ¥1,500 /シニア ¥1,100、
大学・高校・中学生以下・障がい者手帳をお持ちの方 ¥1,000