Krakow Photomonth Festival 2013
5月16日からポーランドの古都クラクフで、クラクフ写真月間フェスティバル(Krakow Photomonth Festival 2013)が始まりました。これから1ヶ月に渡り、街のあちこちで20以上の各美術館やギャラリーでは写真の企画展が開催され、ワークショップやアーティストたちとのディスカッション、キュレーターツアー等の様々なプログラムが用意されています。
世界の大都市で開催されるフォトフェアに比べるともちろん規模は小さいけれど、ポーランドで最も芸術的な街と言われるクラクフのリラックスした街中でのギャラリーめぐりは思った以上に楽しいものになりそう。
今回のメインテーマはファッション。私たちがどのように、そしてなぜそれを着るのか。日常の服、制服、ファッション業界の中にあるトレンドとしてのスタイル、そして自分を偽り変装する非日常としてのファッション。自分のアイデンティティを表現するためのツールのひとつでもある服との関係性や、社会や文化の問題についてを探っています。駆け足で回った企画展の中から見所をピックアップしました。
19世紀のファクトリーをリノベートしたレンガ作りのギャラリーStarmach Galleryでは20世紀を代表するスイス出身のアートフォトグラファーWalter Pfeiffer 「In Love with Beauty」を開催。身近な友人や恋人のスナップショットをリアルに写すスタイルは90年代のファッション写真に影響を与えたと言われる彼のスタイル。70年代の膨大なスクラップブックや、よりパーソナルな作品をセレクトした見応えある企画。
クラクフ現代美術館 MOCAKでは、ポーランド出身で有名な写真家のひとりタデウシュ・ロルケ(Tadeusz Rolke)の「Studio Rolke」。共産主義時代よりポーランドの現状を伝える手段としてジャーナリズムフォトグラファーとしての地位を固めながらも、70年代に一時ハンブルグに亡命したときにファッションフォトを始めたロルケ。今回の展示は過去ののアーカイブから集められた、撮影する側とされる側との関係性。
Pauza Galleryでは、コリーヌ・デイ(Corinne Day )の Early Days。1990年の英雑誌「The FACE」で新人のケイト・モスを一躍スターにしたきっかけをつくり、45才で脳腫瘍で亡くなったコリーヌ。当時わたしもその写真に魅了され、その号だけは今でも大切にしています。上の写真は、写真をはじめるきっかけとなったパートナーが香港で撮影したコリーヌ本人。展示では彼女のプライベートのスナップが集められている。
Synchrodogsはウクライナ出身の若いカップルTania ShcheglovaとRoman Novenによる写真家デュオ。奇妙な世界を作り出す彼らの写真はすべてアナログで撮影されている。ファッションやエディトリアルの世界で活躍する注目のアーティストだ。展示場所のNew Roman Galleryは古いアパートメントのひとつからなっていて、とても素敵な場所だった。
こちらもウクライナ出身のアーティストYurko Dyachyshyn。毎日着替える(時には1日に2回も)お洒落が好きな55歳のホームレスSlavikさんの日々を追ったドキュメント。
The Etnographic Museum of Krakówではオランダ出身のアーティストRoy Villevoye「Red Calico」 。インドネシアのニューギニアに住む若いアスマット族の間で流行ったとされる、Tシャツに穴を空けたりカットするスタイルが集められている。