ポーランド南西部 クドヴァ・ズドゥルイ ミネラルと奇岩の森

ポーランドの知られざる地方の魅力のひとつ、ポーランド南西部のドルヌィ・シロンスク地方、チェコとの国境にある小さな町クドヴァ・ズドゥルイ(Kudowa Zdrój)をご紹介します。

Zdrójはポーランド語で” 泉” という意味、このあたりの街にはミネラルを含んだ湧き水が飲める施設があちこちにあります。観光地ではないけれど昔から保養地としても知られているところ。ミネラルたっぷりの硬水を飲み歩くのもいいけれど、この小さな町から思いがけない旅を楽しめることができるのです。

まず訪れてほしいのは、ヨーロッパでも珍しい地質を持ったグーリ・ストウォーヴェ国立公園。森や草原に佇む奇岩はまるで大きな生き物のよう。そしてこの豊かな原生林の高台に進むと無数の岩が集まる“ブウェンドネ・スカウィ(間違った岩)”と呼ばれる自然の迷路があります。大きな岩と岩の間を練り歩いていると、ここが森の中ということを忘れてしまいそう。

この奇岩に魅了されたなら、国境を超えてチェコ北部のボヘミア地方トゥルノフ(Turnov)のロック・シティへ。(車で約30分ほど)ここは奇岩が広がる地域で、中でも有名なアドルシュパフ=テプリツェ奇岩群がおすすめ。一足踏み入れると山に囲まれた美しく凍った湖、そのほとりの奥に進むと今までみたことのない景観が現れます。エリア内はハイキング・コースになっていて普通に歩いて約1時間半ほどでまわることができます。巨岩に囲まれながら歩いているとダイナミックなおとぎの世界を歩いているような感覚に、そして時間を忘れて歩くうちに次第に忘れられない思い出のひとつに。

この小さな町のはずれには、3000個の頭蓋骨などが壁や天井にぎっしりと納骨されている、驚くような礼拝堂カプリツァ・チャシェク(Kaplica Czaszek)があったり、隣の町に行けばドゥシニキ・ズドゥルイには有名な製紙博物館で紙のワークショップに参加することも可能です。ショパンも療養でこの地に滞在した時にはここの紙を使っていたとか。またドゥニシキではショパンの滞在を記念して毎年8月には世界最大の国際ショパン音楽祭が毎年開催されています。

また300以上あると言われているポーランドの古城の約四分の一がこのドルヌィ・シロンスク地方にあり古城の多いエリアとしても有名です。そんな森に佇むお城に泊まってちょっと贅沢な特別な休暇を過ごすのもいいかもしれません。

Photo / Grazyna Saniuk

 info:
クドヴァ・ズドゥルイ観光サイト
グーリ・ストウォーヴェ国立公園 Park Narodowy Gór Stołowych
アドルシュパフ=テプリツェ奇岩群 Adršpach-Teplice Rocks
カプリツァ・チャシェク礼拝堂 Kaplica Czaszek
製紙博物館 Muzeum Papiernictwa 
国際ショパン音楽祭
クションシュ城 Zamek Ksiaz